「サステナブル・フード」について“おいしく・楽しく”知っていただくための新プログラム「SUSTABLE」の第4弾【あたらしい食文化】が2021年10月29日に開催されました。
先進国の食のありようが環境問題や食料危機の原因であると言われているほか、アニマルウェルフェアやアレルギーの観点からも、あらたな食材への期待は高まっています。今回は、「代替食=(他の食材の置き換え)」という概念を超えて、“あたらしい食文化”の創造に取り組む、ミヨシ油脂株式会社、DAIZ株式会社、株式会社ZENB JAPANの3社、そしてリストランテ・ラ・ブリアンツァ オーナーシェフの奥野義幸氏をお迎えし、新たな食文化が必要とされる背景や未来への可能性についてお話しいただきました。
まずは株式会社ZENB JAPAN長岡雅彦氏から、ミツカングループの理念とZENBシリーズ誕生の背景、そして「ZENB」というブランド名が象徴する「野菜やお豆、穀物などの植物を、普段は食べずに捨てている分まで可能な限りまるごとぜんぶいただく」というコンセプトについてご説明いただきました。植物を可能な限りまるごといただくことで、食品ロスの低減につながるほか、栄養もたっぷりと摂取することができ、環境にも人にも優しい商品であることを学びます。ZENBシリーズの中でも、2020年9月にデビューした、高食物繊維、高タンパク質の黄えんどう豆100%の「ZENB NOODLE」は、他の麺より糖質30%オフ、グルテンフリーのあたらしい主食として注目されています。
続いて、大豆を主成分とした植物肉「ミラクルミート」をグローバルに展開しているDAIZ株式会社の河野淳子氏より、2050年人口10億人時代のタンパク危機問題や、牛肉の生産過程における環境負荷の問題など、世界的に植物肉のニーズが高まっている背景についてご説明頂きました。なかでもDAIZ社が展開する「ミラクルミート」は、「落合式ハイプレッシャー法」という独自の技術により、大豆特有の異風味を低減して肉様食感を再現するほか、アミノ酸を誘導することで旨味を増大させるという革新的な商品であることを、イラストや図を交えてわかりやすく、そして楽しくご紹介頂き、会場がにこやかな雰囲気に。DAIZ社のミラクルミートをはじめとする植物肉の普及がSDGsの達成に貢献するということと合わせ、「フレキシタリアン」という概念のご紹介や無理なく続けていくことが大切であるというコメントも頂きました。
続いて、ミヨシ油脂株式会社の志田政憲氏より、2020年に誕生したプラントベースの油脂「botanova」についてご紹介いただきました。 世界の食料問題や環境問題などの観点でプラントベース食材の需要は高まっているものの、「おいしさ」や「風味」の観点(コクの足りなさ・タンパク素材ならではの青臭さ)では課題が残っていたこと、そして同社のbotanovaは、独自の技術力によってそれらの課題を克服するかたちで誕生したことについてお話しいただきました。また、botanovaは従来のバターやラードに比べて温室効果ガスの低減に貢献していることや、RSPO認証油を使用することで環境保全にも貢献していることもご説明頂き、改めて「あたらしい食文化」がSDGs達成に貢献するのだという学びがありました。
会場キッチンでは、リストランテ・ラ・ブリアンツァ オーナーシェフ 奥野義幸氏が、3社の食材を使用したスペシャルな2皿を調理。参加者にサーブされ、会場はいい香りに包まれました。
●MENU
・プラントベースのキーマカレー
・プラントベースのボロネーゼ ZENB NOODLE スペシャル
・栗とローズマリーと中国茶のノンアルコールカクテル
キーマカレーにはDAIZ社の「ミラクルミート(ミンチタイプ)」と今秋リリース予定のミヨシ油脂「botanova牛脂風味」(今冬リリース予定)と「botanovaバター風味」を使用。「生姜やニンニクなどのスパイスの香りをbotanovaに移してから、水抜きしたミラクルミートにしっかりと吸わせています。この大豆ミートは坦々麺にも合うんですよ。実はうちのお店で賄いとして出すくらい」と奥野シェフ。
ボロネーゼの麺はもちろんZENB NOODLE。「豆ならではの苦味がbotanovaの牛脂風味とよく合うんです。特にもちもちとした食感と歯応えがいい。茹でたてはさらに食感が良いので、ぜひご自宅で茹でたてを食べていただきたい」と奥野シェフがZENB NOODLEを絶賛する場面も。奥野シェフからは、それぞれのお料理について自宅でさらに美味しく食べるコツもご紹介いただき、親しみやすいお話で会場を和やかな雰囲気に包まれました。
会場参加者からは、「プランドベースだと満足できないのではと思っていたが、そんなことはなく、動物性の素材が入っていないなんて信じられない美味しさ。栄養価も高いということで、毎日これでもいいなと思えるくらい。」との感想も。
試食の後は、「あたらしい食文化」のいまとこれからについてゲスト間のトークセッションが交わされました。奥野シェフからはあたらしい食文化の定着が進む海外事情もお話いただき、長岡氏、河野氏、志田氏のお話からは、日本においても、販売店や消費者の意識変容に伴って、少しずつ普及が進んでいることを確認できました。
“代替=他の食材の置き換え”という概念を超えて、「あたらしい食文化」の創造に取り組む“作り手”、その魅力を十分に引き出す“使い手”、そしてそれをいただく私たち“食べ手”のそれぞれの行動が、今度の未来の食を明るくしていくのだと再認識した一夜となりました。
アクション実施概要
開催日時 | 2021年10月29日(金)18:30〜20:00(開場18:00) |
開催場所 | MY Shokudo Hall & Kitchen(東京都千代田区大手町2-6-4 TOKYO TORCH 常盤橋タワー3F) |
出演者 (順不同) | ◆ ミヨシ油脂株式会社 食品本部 企画部 部長 志田政憲氏 ◆ DAIZ株式会社 取締役COO・業務オペレーション部長 河野淳子氏 ◆ 株式会社ZENB JAPAN マネージャー 長岡雅彦氏 ◆ リストランテ・ラ・ブリアンツァ オーナーシェフ 奥野義幸氏 |
定員 | 会場参加:30名/オンライン参加:500名 |
参加費 | 会場参加:1,000円/オンライン参加:無料 |
主催 | 大丸有SDGs ACT5実行委員会/三菱地所株式会社 EAT&LEAD |
後援 | 国連広報センター |