2022年11月11日、D&I(ダイバーシティ アンド インクルージョン)において「知る」「共感」「巻き込む」を目的にしたイベント「大丸有の D&Iをかんがえるカイギ」を開催しました!
☞イベント概要はこちら
第一部の調査分析編では、主に人事・D&I推進担当者を対象に開催。まずは2021年度に行った「大丸有エリアのD&Iの推進状況における調査結果」報告からスタートし、株式会社アカルク ディレクターで、株式会社IRIS COOでもある石野 大地氏から解説しました。
今回は「大丸有エリアで働く約28万人」と「大丸有エリアに所在する企業約4300事業所」を対象に、「LGBTQ+」「障害者」に焦点を当て、個人や企業がどのように社会的マイノリティと関わっているのか、当事者が抱える課題の理解度、D&I推進上の障壁等を調査しました。
まずは個人向け調査の結果、大丸有エリアで働く4人に1人がアライであり、過半数の人が「誰かを支援したい」と考えていることが分かりました。しかし、当事者と取り巻く人々では課題認識に乖離があることも同時に明らかになりました。
企業向け調査の結果では、企業規模ごとに担当者の課題認識や実際の取り組みに違いがあり、その中でリソース・ノウハウ不足に悩んでいることが明らかになりました。
その結果を踏まえ、企業で働く障害のある当事者や先進的企業に、取組み状況や社内の実態等をお話しいただきました。
1人目のゲストはダノンジャパン株式会社に勤められ、一般社団法人ユニバーサルマナー協会講師でもある金子 聡氏。金子氏は全盲の盲導犬ユーザーで、当事者として仕事や日常生活の中で感じる課題についてお話しいただきました。
25歳で「網膜色素変性症」を発症した中途障害者であり、40歳で障害者手帳を取得。そこから訓練校に通いスキルを習得し、障害者雇用で採用されるも給与の低さに驚いたそう。組織として働く中で辛いことや、日常生活でも困ることがあり、その話から「職場で当事者と話をして直接学ぶこと」「相手の立場に立って関心やイメージを持つこと」の重要性をお伝えいただきました。
「金子さんの後で大変恐縮ですが…」の言葉で講演を始められたのは2人目のゲスト、三井住友信託銀行 人事部 D&I 推進室室長の安念 千佳氏。三井住友信託銀行では、D&I推進において6つのテーマを掲げて取り組んでおられます。女性活躍推進では役員自らが女性マネジメントをサポートする「サポーター役員制度」を導入されているなど、具体例から分かりやすくD&Iの取り組みをご説明いただきました。
最後3人目はソフトバンク株式会社 人事本部ダイバーシティ推進課課長の木戸 あかり氏。D&I推進を進めるにあたり、「ありのままが尊重される・個性を強みにする風土作り」を大切にされているとのことでした。その前提を踏まえ、女性活躍推進や障害者雇用、LGBTQ+や海外戸籍の方への配慮などの実例をご紹介いただきました。
ゲストの講演のあとは、モデレーターの株式会社アカルク 代表取締役社長 堀川 歩氏とゲスト3名とのトークセッションに移ります。
調査結果を踏まえたテーマを3つ用意し、ゲスト3名にご意見を伺いました。
一つ目は「職場や街で、当事者と非当事者の”温度差”を感じる場面はありましたか?」。
金子氏は盲導犬を連れていると約半数の飲食店に入店拒否されてきた経験を元に、「お節介ではないか?」と考える日本人特有の遠慮に言及されました。また、安念氏と木戸氏は女性活躍推進をテーマに、社内で管理職に女性が少ない理由の理解にズレがあることをお話しいただきました。
続くテーマは「当事者との交流機会はありますか?」。
安念氏は、人事部内では新たな障害者雇用の取組「ディー・アイ・ラボ」がスタートしているものの、現段階では日常的に障害者の方との接点があるわけではないとお話しいただきました。木戸氏は自社に自発的なアライネットワークがあり、イベントをしている団体と繋がってもらっているとのこと。しかし人事としてどの程度参加するのか、迷いがあるそう。当事者の金子氏は、当事者と非当事者では目線が異なることに言及。その中で、個人を理解するためにも、食堂などで積極的に話すことが大切だとのメッセージをいただきました。
3つ目のテーマは「D&I推進に十分なリソースを割けているか?当事者に必要な制度・環境とは?」
木戸氏は担当社員が10名いるものの、リソースが十分だとは言えないとのこと。安念氏も5名まで増えたものの、D&Iは果てしないものでリソースが足りることはないと言及されていました。金子氏はルールや前例もない中で、リソースを語ることは難しく、レールを引くことが大切だと話されていました。その中で必要な人事制度に関して、過剰サービスは必要なく、障害を感じさせない一人一人の環境作りが大切とのことでした。
最後のテーマは「理想的なD&Iが実現したコミュニティとは?」。
金子氏は居心地がいい環境のためにはマインドが大切であり、当事者との接点を増やし経験値を溜めていくことが大切だと話されていました。安念氏は左利きを例に、目に見えない不便から関心を持つことが重要とのこと。木戸氏は自分には関係ないと考えるのではなく、コミュニティを意識しながら当事者意識を持つことが大切と話されていました。
その後、質疑応答でも積極的な議論が交わされました。ご参加いただきました皆様、ゲストの皆様ありがとうございました!
■第2部 意見交流編レポートはこちら